ヨーロッパと日本の私

ヨーロッパで体験した事、等々

伝書鳩

その街の名前はエルパソ、人口約5000人、海抜600mの小さな静かな街です。

友達のロザリオの主人ベルトは伝書鳩の愛好家で有名、その見事に作られた

伝書鳩の住み家は、同じ箱がパズルのように3段―5段階に分かれて作られ、屋根近くまで各種の止り木があるので、鳩達はいつでも大きな鳩小屋で自由に飛びまわれます。広い小屋はいつも行き届いた手入れと掃除で訪問客を驚かせます。仕事の合間に大事な鳩達が快適に住めるよう費やする時間は時々家族の不満を掻き立てます。

ベルトは約50 羽の鳩の1羽毎の個性や名前をよく見分けて、まるで子供のように掌に載せて話しかける連日、伝書鳩は一年の数回ある大会に備えて大事に育てられます。

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エルパソから隣の島へは約250km,テネリフェ島へ向けて飛び立つ鳩達はその美しい姿で

舞い上がります。澄み切った青空の中に一羽一羽が高くダンダン姿を消してもう見えなくなると標高800mの山々を越え大西洋の青い大海原をまっしぐらに目的地に向けて飛びます。

その日は風もなく、雲一つない快晴、ベルトは出発地のエルパソの鳩小屋で無事な飛行を祈ります。

メッセンジャーの役目を確実に果たす鳩達はベルトの仲間に喜んでもらい、次回は

テネリフェ島からの訪問を、気候の安定した時期を選んで話し合います。

 

古代から、伝書鳩は優れた才能を持つ事で知られ、通信手段として人間の片腕になり

活躍しました。航海中の船から陸に飛ぶ鳩、戦場でも大変な役目を果たしています。

約1000kmを飛ぶ力が鳩のあの小さな体のどこに備わっているのでしょう。

 

環境汚染を思う時、今だからこそ鳩達が活躍できる分野があるのではないでしょうか。