東大寺、大仏様
例年、松の内に奈良に行き、東大寺で大仏様に合掌する事が今年も叶いました。
年頭でもあり、お参りする人達で混み合い、シカを相手に戯れ、笑う声にホノボノと
する中、雨に濡れた石畳をユックリと歩き、立派な木造建築にみとれて急な階段を
上がりました。
そこには、深い笑みをたたえる大仏様がドッシリと座っておられるのです。
そのおおらかな表情と優しさ、みても見ても引き込まれる寛容さが、いつの世も
人々を受け止めておられるのです。私は外国から帰国すると、必ず時間を見つけて
お参りし、亡夫を初めて案内してからも私達二人はなんども訪ねました。
私達は正面にある小さな椅子に座り、延々と見つめ言葉もなく、深いため息を
つきました。亡夫が最も尊大な敬意を示した大仏様です。彼は青年時代から東洋文化に関心がありました。それを日本で再確認して喜んでいたのでしょう。
人間のすべてを見抜いて、知っていて、どんな事を話しても、明るい道に戻して下さる、、信じた人々が継続してきた1000年を超える歴史は、どの時代にも新鮮であり、
混迷する現代に大きな光と力を照らすのだと確信しました。
安らかな思いで大仏様の周りを一歩一歩と、南無阿弥陀仏と唱えました。