宝の松
弥生の満月を、カナリー諸島、グラン・カナリア島の首都、ラスパルマス市の自宅で
観ていたのは、政雄さんと千代子さん、直後にお二人からメールを頂き、
以心伝心を喜んでいます。メールに添付された写真に感動しながら、大切な
友人夫妻の事を書きたいと思います。
下記はメールをそのまま引用しました。
先日,私の背丈を超え立派に一人立した宝の松に再会し、9年前植樹した30cm程の苗木の思い出が蘇ってきました。9年前、2011年3月11日に起きた東北大震災による被災者の鎮魂の意味で、グラン・カナリア島北側、タマダバ山塊の懐深くに、山友達で当山を管理統括するアガエテ町役場にお勤めのアントニオさん御夫妻の御理解の下、3本の松を植えました。松達が自分で水脈を掴む迄水を上げろ、との事。大体2年は掛かろうと云うアントニオ。僕たち若かった-今より-当たり前か!から出来たけれど今は一寸無理です。岩だらけの細い山道、標高差600mを千代子5リッタ-僕10~15リッター持って2週間毎、良き散歩でした。
9年経ちました。僕たちの背丈を抜きました。先日3月11日、千代子が久しぶりに挨拶に訪れました。最後の挨拶になるかも知れません。でも、遥かにテイデ山が望める素晴らしい大自然の真っただ中で子孫代々立派に成長してくれると思います。又3月11日は69年前福島県小名浜にて千代子がこの世に生まれた日でもあります。植えた3本の成長は少しずつ差があります。カナリ―松は、成長が早いと言われ、一年に1メータ大きくなるそうですが、千代子さんの身長を
越えたのは、お二人が懸命に水を運んだからですね。海抜600メートル、
新鮮な空気と景色の中、松の葉の香りが優しいのです。
当時、La Palma 島で、二人から<松を植えた>と聞いた時、どんなに
うれしかった事でしょう。<宝の松>と命名したらどうかと提案しました。
永遠に残る樹木を植えて育てる意気込みは、まさにすべての意味から<宝>です。
このお二人はほんとうに自然を理解する、緑の地を作りたいのだと思いました。
晴れた日は、目の前に見えます。
<宝の松>の写真は度々見せて貰っていましたが、この度、千代子さんの身長より
大きくなったカナリー松を見て、よくがんばったねぇ、、と大きく感動しました。
もう水を運ばなくても育つでしょう。水を持たなくても時々、子供達が待っている、
そんな心境でさらなる成長を確かめに行ってください。そして、大きな松の木の
下には<松カサ・松ボックリ>がたくさん横たわっていると想像しながら。
3本の<宝の松達>は、遥か福島で大災害の被害を受けた大勢の人々が、少しでも
穏やかにあられるよう、私も一緒に強く願っています。