ヨーロッパと日本の私

ヨーロッパで体験した事、等々

イギリスの桜

この度の新型コロナウィルスが、世界中に広がり始めて、すでに4か月以上の時間が

過ぎています。温暖とはいえ、長い冬を終えて迎える春は、ほんとうに私達の気持ちを

明るくします。そして、お互いの無事を確認したい、温かい思いも湧き出るの

でしょう。

昨日は、まさに以心伝心としか形容のしようがない、珍しい電話をイギリスの友人、

優子ちゃんから受け取りました。声を聴きたくなった、、と 2-3 年振りにかけて

くれたのです。ちょうど、私自身は午後の散歩で、メールを書こうと思いながら

自宅に着いた途端の電話でした。Covid19のニュースが世界中の国の情報を伝えて

いて、多くの人々が心をよぎる気持ちになり、母国、日本にいる家族、友人にかけて

いるのだと。

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 優子ちゃんの住んでいる家の庭には大きな桜の木があり満開との写真です。

 今年はほんとうに、よく桜を満喫できたと思っていたので、添付された写真は

 今年最後の、若葉もついた花と青空が見納めとなります。

 2021年の春、日本でもっと桜を見たい、、と帰国の知らせもうれしく聞きました。

 

鹿児島県出身の彼女に会った1970・71年頃、新しい波が日本の若い人達にも広がり

始めていました。女性でも自立して、自分の目的に向かって生きてみたい、と時代の

変化を早くから感じていた人でした。その頃、日本で働いていたイギリス人に出会い

結婚して、その人の転勤で香港に住み、一男一女を育て幸せな家庭を築いて数年後、

イギリスに帰国して子供達には最高の教育の機会をみだした年月がありました。

 

ご主人のPeterのドイツ出張に同伴して、ドイツの私達の住まいを訪ねてくれた時は、

<持つべきは友‐友ありて遠くより来たり>大変うれしくて、ありがたかったのです。

 

優子ちゃんは唯一、毎年必ずクリスマスカ―ドに近況を添えて送ってくれました。

現在のように通信網が便利でなく、時々の文通・ハガキで無事を知る、、これは

日本へもヨーロッパ間も同じでした。電話代が時間毎にやすく使えるようになった

のはドイツでも1975-80年代でしょうか。

 

そんなある日、Peterと離婚したとの知らせを受け取りました。子供2人の事を思えば、かなりの決断と勇気が必要だったでしょう。昨年は又、Peter が<がん>で死去との、

訃報があり、彼女は自分の人生の半分が消えた、、と深い悲しみで明け暮れしました。

日本から香港へ、イギリスへと、共有した時間を偲び辛かったに違いありません。

 

次の知らせは、アメリカのフロリダからでした。イギリス人と再婚したとの朗報。

オメデトウ、、と再出発をお祝いした私達夫妻でした。

その人は、ヘリコプターのパイロット教授、世界中からの志願者を指導し、優子ちゃんは秘書として働きました。明るい温暖なフロリダの生活は豊かな数年となりました。

私自身がドイツとラパルマの行き来を始めた頃の感覚に似ているのかも、、と思った。

大事な人生を幸せに生きる、、人はその折々の運とか、チャンスの流れに乗りながら

自分と向き合い、責任を果たします。

 

その数年後、二人は退職後の場所として親友のいる南仏、ノルマンヂィに家を

買います。イギリスの娘や息子も子供達を連れて、憧れの南仏に休暇を利用して来てくれる、、花を植え、きれいに手入れされた家の写真を受けとった時は<ヤッタ>、、ねと返事したのです。しかし、交通手段や距離からしても、利便性が悪くてイギリスに戻ろうと決めたそうです。売却を不動産会社に委託するけど、良い買手が見つからず、かなり待ちました。ちょうど、その頃、私の主人が亡くなり、私も残された不動産をどうするか迷っていたので、彼女の思いが大変近くで理解でき励まし合いました。

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   すべてが手つくりの愉しみ。ご主人は終日でも庭仕事が好きとの事です。

 

待ち侘びたある日、この課題も解決して、いよいよ、娘家族の近くにいい物件を見つけて、長い期間の手入れ中だとメールがありました。

2人は老いても、長く住んでいたいから家の中はバリアフリーに改造して、前の持ち主が日本ファンだったらしく、庭には、桜、モミジ、椿の木等が所狭しと植えられているそうです。又、二人は庭仕事が大好きなので、土地の一部を菜園にして、野菜の種から

新鮮な野菜を収穫する迄、手入れする健全な日常生活、特に春から初夏にかけて大きな楽しみでしょう。

この場所に出会った<ご縁>を感じているとの、嬉しい話でした。

 

<the garten of England・イギリスの庭>と呼ばれる、森や湖に囲まれたイギリスの

田園風景を二人はこよなく気に入り、この地を最後の場所にしたいと願って

いるのです。  

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知り合った頃、若かった私達は、Beatlesに熱中、外国を知りたい、好奇心に駆られ

ながら、今だ、どこか閉鎖的な日本社会に反抗したりしました。しかし、お互いに

年齢を重ねた今、過ぎた日々を話せば、かけがえのない友人であり、今後も繋がっていたいと願い<Face time/WhatsApp/eMail>を使い、便利な時代になった、と振り返るのです。

 

人生、さまざまですが、一人の日本人女性として、立派に真直ぐに生きた人だと

その聡明さと明るさが少しも変わらない、優子ちゃんを心より誇りにしています。

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 来年の春、再会できたら、積もり積もった話でしょう。楽しみにしています!!!