鮮魚
朝夕が過ごしやすくなると<味覚の秋>が楽しみに加わります。
しかし、ニュースでみて驚くのは<秋刀魚の不漁>です。漁獲しても細いやせた
秋刀魚、その上に高い値段はサンマが庶民の魚でなく、鯛と同じような価値のする
魚になったそうです。たしかにス―パーでみたら、なんと1尾が ??
シーズンは短いので、今年は油ののった秋刀魚は数回だけ食卓にのるのでしょうか。
不漁の原因は、乱獲、海水温度上昇、、またもや異常気象も影響されます。!!
夏の太平洋の水温が30度にも上がり、風、雲、波のすべてが台風を生み出し、
魚も捕獲できない日本列島の気象状況を予測している私達ですが、身近に迫って
いる問題は日常にも大きな影響を与える事の感覚に触れています。
温暖化は日本だけでは解決できない、もちろん世界中の大きな課題ですが、
漁業と深くかかわる日本人の生活に正面から打撃を与える問題なのです。
子供の頃から、私は秋刀魚の文字、きれいな姿と色が好きで、季節になると母と
一緒に近くの市場の魚屋さんに行きました。その頃は、裏庭に(かまど)があり、
端っこに炭をおこして金網で焼き物のできる一角があり、丁寧に焼いたのです。
煙が多い程、油がのっていて味は抜群でした。新鮮だから、匂いもなく、
毎日でも食べたい秋の好物魚でした。
昔から(落語)のテーマで庶民の生活を表現、多くある魚の中でも一番季節感を
伝える魚でしょう。
焼き魚の代表的な秋刀魚もさることながら、真夏の日本の猛暑の真っただ中で
私は毎年のように、日本の流通システムを驚いています。気温が30度を超える
日でも、ス―パーでは新鮮な<刺身>が山のように売り場に並んでいるのです。
ヨーロッパでは考えられない事であり、その味の確かさに毎回言葉をなくします。
「生魚」を食べる、、ヒャーと叫ぶヨーロッパの人達の驚きの表情を
忘れません。しかし、現実には、日本食が「世界遺産」に登録され、外国人が
刺身を、寿司をペロリと食べる時代を迎えています。健康志向になった現代人の
好みと栄養を満たしてくれ、今後もさらなる日本食ファンが増えるでしょう。
日本独特の自然環境が食文化を築いたのであり、四方を海に囲まれた、恵まれた
風土で生活を守れたから、だから永遠に継続される食文化を願うのです。
**お寿司を食べに行くと、魚編の付く文字が読めなくて困りました**
**皆さんは全部読めるのでしょうか。まさに日本食文化の奥深さです**
現在では需要と供給のバランスが取れない時は、あるいは取れていても、さらに
豊かな生活を望むため、輸入魚が世界中の海から届いて、スカンジナビア諸国、
ロシア、アラスカ等の産地を表示した魚、東南アジア諸国のエビ類、南米漁等、
魚好きの日本人の食欲を満たす流通システムは止めを知りません。
魚が好きな私の楽しみがなくならないよう、それもできれば近海魚を四季を通じて
食べたいものですが、皆さんはいかがお考えですか。
折にふれ、私達は (食)に対する意識をよくも悪くも考えるべきでしょう。
ヨーロッパ大陸で数十年暮らしながら、なんども、なんども、災害国日本を
思いました。共有できなくて、思いを馳せる気持ちだけが膨れたのです。
大陸性の揺るぎないヨーロッパで続く長い歴史と比較して、気象条件が人間に
与える影響を考えるのです。石の文化ともいわれるのは十分に裏付けがあり、
一度建った教会、家屋は延々と壊れません。
災害と戦う日々に、人々は季節感あふれる日本各地の食材にどんなに力を得た事
でしょう。打ちのめされても、立ち上がり、今度は被害者にお礼として届ける
産地の新鮮な食材、、細やかなセンスは必然的に日本人の暮らしに密着して
いたのです。
その事が、私の日本での暮らしを理解する大きな糧になりました。
自然環境が穏やかであれば、もちろん私達の暮らしも安泰です。
人々の願いは慎ましく、謙虚なのです。だからいかに、地球を、美しい海を
守り抜けるか、、課題は大きく、重いのではないでしょうか。