ヨーロッパと日本の私

ヨーロッパで体験した事、等々

若松を生ける

    もう数時間でお正月を迎える、、今朝は明るい太陽が照り、風が顔に当たると

心地よさを感じました。忙しさは日毎に増すけれど、ふと足を止めて日光に

当たりました。 よかった、、今年もぶじに大晦日にたどり着きそう、、。

 

恒例の若松を生けて、しめ縄を、松竹梅の花を飾ると、クリスマスツリーと

一緒に家中が華やかな雰囲気に変わりました。<私のお正月>です。

亡き夫はクリスマスの飾りをお正月と並行して祝う習慣があったので、今年も

あの世からきれいだと、喜んで見守っているでしょう。 

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まっ直ぐに、1,3メーター位もある、新しい香りのする若松(黒松)は、一年かけて

育った新しい枝の部分だけを7本使い、美しい曲線を作り、規則正しく寸胴/花器>の

中の<叉木/花留>に生けこまれます。どの手順を間違えても仕上がりが美しい姿になりません。生け終わったら<留木>で固定して、最後に<水引>を金と銀でかけます。

 

殆どの場合、一年に一度の機会なので生徒達は緊張の数時間です。後から来た人が生け終わり帰るのに、私はどうしても<叉木>がキチンとはまらずに、なんどもやり直し、

その数ミリの差を感覚でとらえられないのです。集中力と忍耐を毎回、新たな

体験に加えながら、帰国して3回目の若松を生け、自宅で生け終えたら、胸が一杯。

苦戦するほどに、来年も挑戦したい思いになります。まさに<終わりなき道>を

今後も一歩一歩と確実に歩きたいものです。

 

ヨーロッパ及びドイツで生花が日本文化の極みとして浸透したのは1965-70 年頃から

でしょう。すでに存在していた I.I.(Ikebana International)広報の影響もあり、アメリカ及びヨーロッパに広がり1980年代からは最盛期をむかえました。

ドイツ生花協会の会員だった私は毎年の講習会に参加して、当時会員だった数人の

日本人女性と日本から訪独される各派の<家元>と関係者のお世話等をさせて

頂きました。

<嵯峨御流>の使節団が来られた時に知り合った先生に現在もご指導頂いています。

外国でこれほど人気のある生花の魅力は現在も至る場所で根をおろして ドイツ、北欧、オランダ、ベルギー、スイス等、会員は1000人以上を超えるかと思います。

2020年5月の4日間は、北ドイツ在住の高橋さんが<嵯峨御流>のデモンストレー

シヨンと指導をします。ドイツ生花協会は、実に来年が設立40年で会員数はイギリス、

フランスより多いと思われます。

 

 私は長い外国生活で見失う<日本の心>を思い、帰国するたびに<お稽古>に

通いたいとの依頼を先生にして了解を頂き短時間に<熱心に詰め込む>、しかし、やはり表面だけのお稽古でした。日本で住むと外国で見えなかったものが、形を変えて理解でき、それは身体に沁みつく精神力や忍耐力なのだろうと思うのです。

 

ほんとうにすばらしい多くの日本文化に敬意を表します。たくさんの人々に巡り合う、人と人がつながりを尊ぶ心が世界に広まる、、美しい花々と植物が永遠に途絶えない(宇宙、地球、自然)でありますよう強く願い、毎朝若松に差し水を注ぎます。

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